メタボリ注意報


ドクターインタビュー

(医療法人社団うつぎ会 法典クリニック 院長 加地 展之先生)

平成20年4月から、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防を目的とした特定健診・特定保健指導制度がスタートします。
そこで、加地先生から「メタボリックシンドロームの予防・改善」についてボランティアの方に分かりやすく教えていただきました。
 
加地先生の回答を読むには[A]をクリックしてください。

平成05年:
浜松医科大学卒業
聖路加国際病院レジデント
平成08年:
東京大学形成外科
法典クリニック開業
平成13年:
医療法人社団うつぎ会設立
理事長就任
日本形成外科学会専門医
その他所属学会
東京大学附属病院形成外科診療登録医
杏林大学病院形成外科血管腫外来専攻
日本外科学会 日本頭蓋顎顔面外科学会
法典クリニックHP
http://www.hoten-c.net/index.html

(Q1) まず、メタボリック該当者や予備軍は約1900万人ともいわれていますが、その点について加地先生はどのように思われますか?[A]

A:当クリニックで健康診断や治験で血液検査をされた際に、20代後半から30代前半の若い方でも高脂血症が見つかることがあります。また、そういった方では、血糖値HbA1cが異常というほどではないが少し高めであることが気になります。
本人は自覚症状がなく、従来の検診制度では異常という判定にならなかったので、メタボリック該当者や予備軍は約1900万人いると聞いて「そうだろうな。」と納得することができます。
また、1900万人いることと関連して、高血圧糖尿病などの生活習慣病の発症年齢が若くなっていることも危惧されます。

(Q2) 運動習慣をつけることが良いと思いますが毎日続けられる運動があればご紹介いただけますか?[A]

A:メタボリックシンドロームになってしまう方は女性より男性が多いと思いますが、忙しすぎるのも原因のひとつと考えられます。忙しい生活の中でジョギングやジムに通うことは難しいので、通勤されている方でしたら車を辞めて電車通勤に変えるというのはどうでしょう。
エスカレーターを使わずに階段を登るなど日常生活でやっていることを少しでも運動に変えていくことのほうが現実的です。
また、入浴前や寝る前に自宅で手軽にでき、女性にも無理なく続けられる10分ウエイトトレーニングがあります。
スロートレーニング】といって、スクワットなどにしても、1つ1つの動作をゆっくり行うことによって、自分の体重だけの負荷で、少ない回数行うだけでも十分な筋トレ効果が得られます。
スロートレーニングの参考書は書店で購入できます。しかし、本を読んだだけでは、最初から正しいフォームで行うのは難しく、関節を痛めたり、効果があがらないこともありますので、出来れば1度はジムに通いトレーナーから正しいフォームを習得してから始めることが理想です。

(Q3) 食生活を改善することも大切ですが日々の生活で注意できる食事について具体的に教えていただけますか?[A]

A:若い年齢のうちに食生活について考えアクションを起こすことが大事です。
脂質摂取を減らすのは当然ですが、ポイント1は『摂る脂質の種類』、ポイント2は 『含まれる脂質のパセンテージ』です。脂質の構成成分である脂肪酸は【飽和脂肪酸】と【不飽和脂肪酸】に分けられます。
肉と魚を比較した場合に、魚は不飽和脂肪酸含有率が高くコレステロールを下げたり動脈硬化や糖尿病の発症のリスクを下げたりする効果がある脂質を摂ることができます。
また、ポイント2の脂肪の含有量についても認識してもらいたいのです。食品の成分分析をしてみると、お肉の部位にもよりますが一般的に牛肉では100g中にたんぱく質は10〜15g含まれるのに対して脂肪は35〜50gと3倍以上含まれています。豚肉ではたんぱく質対脂肪が1:1ぐらいで牛肉に比べ脂肪の比率が下がり、鶏肉はより下がります。
1週間の献立を考えた時に、主菜として肉料理を食べるのであれば牛肉は2週間に1回、豚肉週1、2回、鶏肉を週2回ぐらいとして、あとは魚料理を週4回ぐらいの割合で交互に摂ることが理想です。
コンビニでお弁当を選ぶ場合でも「昨日は豚肉のしょうが焼きを食べたから今日は魚にしよう」と頭に入れておくのです。1週間の献立を考えた時に週に3回は主食を魚にして肉は一日おきくらいで十分です。
また、ご飯と味噌汁を見直して欲しいですね。ご飯には洋食も和食も合いますが煮物や焼き魚など脂質の少ない和食との相性がよく、対照的にパンは油料理との相性がよいので、主食をご飯にするかパンにするかで副食の脂肪量にも大きく影響します。
またパンはそれ自体にバターやショートニングなど飽和脂肪酸が多い脂質が入っています。味噌汁はいろいろな具を入れることで温野菜を摂り食物繊維も摂れるので余分は脂肪の吸収を抑えることができます。
また、同じ炭水化物でもGI値が高いと血糖を上げやすい。GI値が低い食品は食後の血糖値の上がり具合が緩徐です。これは糖尿病の発症にも関連してくる話ですが、GI値の低い食品を選んで食べるようにすることはダイエットにも有効です。

(Q4) 健康に良いお酒の取り方があれば教えてください。[A]

A:短期間のダイエットをしている方は禁酒もしくは週1回以内が良いのではないでしょうか?アルコールのカロリーは体脂肪として蓄積されないと言う人がいますが、それは熱になって使い切られるからということですが、たとえアルコールのカロリーすべて熱になったとしても、そのために本来燃焼されるべきだった脂肪が節約されて蓄積すれば同じこと。普段のお酒の量に関しては飲み過ぎないようにすることですね。
ある程度の量を超えると満腹中枢が麻痺してしまいますので、永遠に食べて飲んでしまうというような飲み方はしないように気をつけたいですね。

(Q5) 気にするあまり過激な運動やダイエットにならないようにアドバイスをお願い致します。[A]

A:ダイエットについては最初に勢いがついてしまうのでいっぺんに摂取カロリーを減らしすぎてしまうことが多いようです。摂取カロリーが不足すると体は足りない分のカロリーを補うために脂肪より先にまず筋肉を壊してエネルギーに変えるしかないので、結果的に脂肪より筋肉が落ちてしまうのです。
健康的にダイエットを行うためには自分がどれくらい食べてよいかを知ることが大切です。年齢、性別、体重と生活活動強度から自分に必要なカロリーを計算します。それが一日の摂取カロリーの目安になりますので、そこからあまり極端に減らし過ぎないことです。生活活動強度が最も低い場合でも基礎代謝量の1.3倍は食べても良いのです。

(Q6) 最後になりますがまとめとして何かありましたらお願いします。[A]

A:これまでお話した中で使ってきた「ダイエット」という言葉は「やせる」という狭い意味のダイエットだけではなく≪自分の食事を管理する≫という意味ですね。
栄養バランスの面でもカロリーの面でも食事を規則正しくすることで全ての病気の予防になります。つまり「医食同源」。病気を予防するのも規則正しい食事をするのも、ともに生命を養い健康を保つために欠くことができないもので、源は同じだという古くから中国で言われていることです。
ただし、毎日がんじがらめの生活をするのは逆にストレスを溜め込んでしまうので三日くらいでつじつまを合わせるようにしてくださいと診療に来た方にお話しています。1日暴飲暴食をした日があったとしても2日間は低カロリーの献立にするなどの調整をつければ良いのです。


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