アンチエイジングクラブ
アンチエイジングクラブとは健康食品情報コスメ情報|ドクター・インタビュー|モニター登録お問合せ

諸國 眞太郎
(しょこく しんたろう)

医療法人社団 操仁会
岡山第一病院 院長

1955年生まれ、東京都出身。1981年岡山大学卒業、同第二外科に入局。「胸部大動脈瘤の外科治療」の研究で医学博士取得。住友別子病院などに勤務後、1994年岡山大学付属病院講師。末梢動脈疾患、下肢静脈瘤など血管外科に携わる。1996年岡山第一病院副院長、2000年同院長。「下肢静脈瘤日帰りセンター」「Vascular Lab」などに積極的に取り組んでいる。


岡山第一病院
岡山市高屋343
TEL.086-272-4088

http://www.okayama-daiichi.jp/
医療法人社団 操仁会 岡山第一病院 院長



アメリカの医学者ウィリアム・オスラーは「人は血管とともに老いる」という言葉を残しています。現在,血管の老化度を判定するのに血管年齢(主に脈派伝播速度,PWV)が利用されています。その結果,実年齢よりも血管の老化が進んでいる人が多いことがわかってきました。
 
血管は,内皮(内膜),中膜,外膜で成り立っています。内皮が傷つけられると単球やTリンパ球が内皮下へ侵入してマクロファージ*となり、悪玉コレステロールを取り込んで泡沫細胞(ドロドロのかたまり)に変化します。これが内皮の損傷が動脈硬化の始まりです。

危険因子として高脂血症,高血圧,糖尿病,肥満,喫煙などがあります。いずれも酸化ストレスを増大させ内皮を傷害します。また,マクロファージはLDLコレステロールが酸化LDLになって初めて貪食します。すなわち酸化ストレスは,泡沫細胞の形成も促進する重要なファクターです。さらに,内臓脂肪が種々のサイトカイン**を分泌することが報告され,動脈硬化の要因であることが分かってきました。




動脈硬化の進行を遅らせ健康を増進するためには,まず運動習慣の徹底と食習慣の改善が大切です。これらにより肥満を改善することが,すべての生活習慣病予防の第一歩です。

運動は,HDL(善玉)コレステロールを増やし,中性脂肪を減らすのに有効です。食事はまず適正エネルギー量を知り,腹八分目を目安に,適量を心がけましょう。
 
一方,現代人は時間的にも不規則な生活を送っており,どうしても外食,コンビニエンスストアのお弁当,加工食品やインスタント食品などの栄養素が欠乏した食事の割合が増え,摂取したエネルギーを代謝するのに必要な栄養素の欠乏を引き起こしています。

しかも,野菜の栄養価は50年前と比べると著しく低下しています。ほうれん草に含まれる鉄分は7分の1に,セロリの含まれるビタミンCは5分の1に,アスパラガスに含まれるビタミンB2やタマネギに含まれるカルシウム量は約半分に,ニンジンに含まれるビタミンAでは10分の1にまで栄養価が低下しています。厚生労働省は10年前には「1日に200gの野菜を摂取してください」と指導していましたが,栄養価の低下に伴い,現在では1日に350gの野菜の摂取を指導しています。これだけの野菜を毎日食事から摂取することは無理だと思いませんか?

そこで,サプリメントの摂取が必要になってきます。まず,現代人にお勧めのサプリメントは栄養素失調を改善するためのマルチビタミンです。その他,酸化ストレスを軽減してくれる抗酸化物としてビタミンCやE,βカロチン,グルタチオン,αリポ酸,コエンザイムQ10などが欠かせません。また,新しい危険因子としてホモシステインというアミノ酸がクローズアップされています。血中ホモシステインが高い人に冠動脈疾患が多く,また,代謝にはビタミンB6,B12,葉酸がかかわっていて,これらの摂取不足や欠乏状態が高ホモシステインを引き起こします。サプリメントでこれらを補充すれば動脈硬化の進展の予防を示唆する報告もあります。
 
もう一つ重要なものとして魚油があります。魚油と動脈硬化の関係が注目されたきっかけは,アザラシの肉を食べるグリーンランドのイヌイットは脂肪の摂取が多く,野菜をほとんど食べないのに心筋梗塞が少ない事実が明らかにされてからです。アザラシの肉にはエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が多く含まれています。心血管疾患のリスクを低下させるために米国心臓病学会は,1週間に2回以上魚を摂取することを推奨しています。また,米国食品医薬品局は「ω3系脂肪酸の摂取が冠動脈疾患の発生リスクを低下させるかもしれない」という表示を許可しました。ω3系脂肪酸には,EPA,DHAのほかに,シソ油,エゴマ油などに多いα‐リノレン酸があります。魚油サプリメントにより動脈硬化の退行が認められた報告や心血管関連疾患の発生率が低かった報告もあります。
 
最近,バスキュラーラボという血管を専門に検査する検査室を持っている医療機関が増えてきています。そこでは,各種の機器を用いて早期の動脈硬化性病変の有無をチェックしてもらえます。今後,アンチエイジングには自分の血管の状態を知った上で積極的にサプリメントを用いる血管病予防がますます重要になってくるでしょう。

*マクロファージ・・・貪食能(食作用)を有する大型細胞で全身の臓器組織に存在します。
**サイトカイン・・・免疫の反応などによって細胞から体液中に分泌される蛋白質のこと。